せまい空間で演じる醍醐味、『ドライブ・イン・マンハッタン』
こんにちは、星読み☆映画ライターのJunkoです!
久しぶりにショーン・ペンを見たいなと思って、『ドライブ・イン・マンハッタン』(2023)に行ってきました。クリスティ・ホール監督です。
ショーン・ペンはもともと苦手だったのですが、最近の出演はぐっと減っていました。彼のキャリアのピークは『I am Sam アイ・アム・サム』(2001)『ミスティック・リバー』(2003)『ミルク』(2008)あたりだったのではないかと思います。
ダコタ・ジョンソンのことはほぼノーマークでしたが、ティッピ・ヘドレン(『鳥』)の孫、メラニー・グリフィス(『ワーキング・ガール』)の娘、「フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ」シリーズで脚光を浴びたことをお伝えしておきます。日本でも芸能人親子はよく見ますが、三代にわたる芸能一家は歌舞伎役者さんくらいかと思います。孫ということで言えば、宮沢喜一元首相の孫、宮沢エマさんがいたり、竹下登元首相の孫、DAIGOさんがいたりします。よって、孫が「フィフティ・シェイズ」のように官能的な物語のヒロインを演じたことも、話題になった理由かと思います。
『ドライブ・イン・マンハッタン』へのひと言
タクシーの持つ独特の接近感、そして夜。
本作品は、16日間で撮影を終えたそうです。回想シーンもないので、低予算作品と言ってもいいでしょう。ですから、登場人物(ダコタとショーン・ペン)の表情なりセリフなり、小さな動きなりが、生命線です。
これだけ制限がかかっているのですから、役者魂が踊るでしょう。
そんな中、客がタクシーの背もたれに寄りかかっているのと、寄りかかっていないのと、前に乗り出してくるのでは、意識が全く違います。運転手と会話せずにスマホでやり取りするのと、運転手と他愛もない話をするのと、一歩踏み込んだ話をするのも、違う。基本的に2人とも同じ方向を向いているので、目線が合いづらい。振り返るか、ミラーで見るか、横顔で確認するか。夜ゆえに、さらに見えづらいのです。
この制限をうまく利用して、見知らぬ2人の心理的な距離が近づいていく様子を描いていて、それが飽きないレベル。
観客としてはもう少しドラマティックなものを期待してしまうのだけれど、制限された時の楽しみもありますね。
ショーン・ペンの色香
私は俳優としてのショーン・ペン以外には興味がないのですが、彼には独特な魅力があります。恐れずに言えば、義務教育を終えなかったアル中のようなヤバい役も無理なく演じられます。
今回も、タクシー運転手。一般的には、学歴や言語にとらわれず参入できる職業。
ダコタはバリキャリで出張帰りのお姉さん。親子ほど歳の差のある2人ですが、ショーン・ペンはダコタを大人の女性として見て、恋愛トークを仕掛けます。
タクシーを降りる頃には、ダコタがちょっと好きになっちゃっている感じにまで、距離が近づきました。2人の間に何か起こるわけではないですが、起きてもおかしくないくらい心理的に近まっている。
何がそうさせるのかな、と思ったら、日焼け感と筋肉かな。なんか若さを彷彿とさせました。筋肉強し、です。
原題は「Daddio」(お父ちゃん)で、ダコタがかなり年上の男性とお付き合いしていることに由来します。結局、ダコタはDaddio(恋人)にも、ショーン・ペンにも、ノックアウトされてしまったのだと思います。
ダコタ・ジョンソンは、綾瀬はるかさんに似ているかな。モデルのヘレナ・クリステンセン(1990年代のスーパーモデル)にも似てる。顔もスタイルも美しいですが、人はそこに欠点を探したがりますから、演技が下手と言われがちですね。
美しいことの代償かな、と思いますが、ダコタ・ジョンソンには生き残りの道を探してほしいです。今回はプロデューサーを務めたので、プロデュースの才能があるといいですね。
映画公式サイト:https://dim-movie.com