社会派だと思って観に行ったら…『罪人たち』
こんにちは、星読み☆映画ライターのJunkoです!
映画『罪人たち』(原題:Sinners、ライアン・クーグラー監督)を観ました。『ワン・バトル・アフター・アナザー』と同じで、米国アカデミー賞のノミネートが多かったことから話題になり、日本で再上映を決めた劇場も出てきたからです。
『罪人たち』へのひと言
ヴァンパイア映画だった。
私は、何の前情報もなしに作品を観に行きました。それはよくあることですが、「奴隷」解放前の時代、アメリカ南部で黒人(アフリカ系)が白人の労働力としてプランテーションで働くお話なので、彼らの過酷な生活や、日々の楽しみや信仰なんかが、ストーリーの中心だと想像していました。ポスターもそんな感じです。少し重いだろうな、とも思っていました。
始まるや否や、私たちは物語の結末から知ることになります。とんでもなく怯えていて、少年がとにかく怖がっているんですが、何に怯えているのかが分からない。
進むにつれて、牧歌的な日常もあれば、少年のロード・ムービーのような背伸びや成長もあれば、音楽が重要な小道具になったりと、ジャンルミックスな様子。やっと中盤になって、ヴァンパイア映画に「なっていく」感じがありました。
そこからは、正直予想通りの展開となり、ヴァンパイア vs. 人間の戦いが繰り広げられます。正直、怖いです。演出自体は比較的オーソドックスで、大きな音で驚かせることが多く、劇場の音響に何度もビクッとしました。
ヴァンパイアの人数が多いと、手の打ちどころがない、という展開も含め、怖がらせ方はかなり古典的と言わざるを得ないです。

KKKが登場するので、歴史的背景も大切ではありますが、この映画の悪役はむしろそこではないですね。深読みするなら、ヴァンパイアという存在は、「永遠の命を得る」という人間の欲望を現しているのかもしれませんが。そういう教訓的な意図は感じないです。とにかくヴァンパイアなので、襲われないために逃げるしかないのです。
双子の兄弟
登場人物に、「スモーク」と「スタック」という双子の兄弟がいます。主役と言っていいと思います。途中まで私は、本当に双子の俳優が演じているのだと思って観ていました。実際には、マイケル・B・ジョーダンが一人二役で演じています。観ている間はあまり違和感がなく、スモークがやや冷静、スタックはお人よし、みたいなところをうまく演じ分けていました。これはなかなか面白い仕掛けでした。
この二人に憧れる若き青年が、「プリーチャーズ・ボーイ」(牧師の息子)のサミー(マイルズ・ケイトン)。2005年生まれのケイトンは歌手とのことで、初めてとは思えない堂々とした演技でした。
クーグラー監督は1986年生まれ、マイケル・B・ジョーダンは1987年生まれで、まだ40歳手前の勢いがあります。私は、スパイク・リー監督作品を観て育った世代です。今の世代が今後どう暴れてくれるか、楽しみです!