静かな演技が見どころ『盤上の向日葵』
こんにちは、星読み☆映画ライターのJunkoです!
まず、本投稿で800記事となりました。幸せなことです👏 訪れてくださる方々に、心よりお礼申し上げます。
さて、本日は『盤上の向日葵』(2025、熊澤尚人監督)。
将棋の映画かと思っていたら、警察沙汰になるような「事件」の話でした。しかも、ポスターはまるで戦争映画というか、鬱蒼とした森のような背景で、一人の男がもう一人の男へ、何かを伝えているような…。どんな話でしょうか。
『盤上の向日葵』へのひと言
坂口健太郎の、新境地。
いつも通り、前情報なしで行ったので、俳優たちの登場に目が離せませんでした。とくに坂口健太郎さん。
これまで「アルフォートの人」という、柔らかい印象しか持っていませんでした。
本作では冒頭、髭面でモード系の衣装。この人は誰?で始まります。
坂口さんの演技は、low keyed つまり全てにおいて控えめです。黙っていても、表情やからだの動きだけで表現。抑えていて、静かな演技。それでいて、力んでおらず、そのまま。俳優としての新境地を感じました。
豪華俳優陣の顔ぶれ
坂口健太郎さん(役名は「桂介」)と一番絡むのが、大御所の渡辺謙さん。賭け将棋をする勝負師を演じます。ケンワタナビーなので、私からみると紋切り型。ガラの悪さはよく演じられていたけど、ドスの効かせ方なんかは、想像通り。ネームバリューで貢献です。
よかったのは、木村多江さんや土屋太鳳さんの「幸薄い」感。 木村さんは、小日向さんと夫婦で、子ども時代の桂介に目配りし、世話をしてあげるやさしい女性です。土屋さんなどは、大人の桂介と一度は恋仲になりましたが、あまりに存在感を消していて、土屋さんと分からないくらいでした。
事件の捜査に関わる佐々木蔵之介さんと、部下の高杉真宙さんも、テンポよく、紋切り型すぎず、安定感があり、作品全体を支える登場人物として光っていました。
ジョーカーは、小日向文世さんです。元校長先生をしていた善人キャラなのですが、私は深読みして、この人に何かあるんじゃないかと思っていました。どうも小日向さんは、ケヴィン・スペイシーと重なっちゃいますね。この笑顔、信用できない!と思ってしまう。
したがって、ラスボス的存在ですが、どうか実際にご覧になって確かめてください。
残念なのは、端役たちの演技。わざと過剰にしていたのでしょうか、桂介が打ち負かす対戦相手たち素人演劇のようなオーバーリアクションでした。若干アニメっぽく、桂介の静かな演技が際立つには役立っていたかもしれません。
ふらりと観ることを決めた作品でしたが、俳優を見る映画としては大きな価値アリでした。
今日はこの辺で。