自らウェスの枠にハマりに行く、極上の非日常『ザ・ザ・コルダのフェニキア計画』
こんにちは、星読み☆映画ライターのJunkoです!
ウェス・アンダーソン監督新作の『ザ・ザ・コルダのフェニキア計画』(2025)を観てきました。チケット売り場で、「ザ・ザ・コルダですね?」と言われました。フェニキア計画ですね、じゃなかったところになんか考え抜いた跡を感じました。
でも作品中耳で聞き取った発音は、「ジャ・ジャ・コルダ」(Zsa Zsa Corda)でした。
色と形が整った世界観はいつもながらですが、今回の物語の中心は、「借金返済」の話。つまり、契約不履行により埋め合わせに奔走する主人公が、あちらこちらにすり寄りながらツケを払おうとする姿が描かれます。重くなりそうなテーマも、ベニチオ・デル・トロを起用し、ウェス流の絵本仕立てで語られることで、むしろユーモラスに、愛おしく映ります。
『ザ・ザ・コルダのフェニキア計画』へのひと言
傷つかない戦闘シーンに、笑わないヒロイン。徹底したリアリティ・ゼロ管理。
いつもの絵本風に、章立てごとにこのザ・ザ・コルダ(デル・トロ)が交渉の旅をしますが、命が危ぶまれることも、あります。飛行機の墜落しかり、悪役との接近戦しかり。
しかし、観客には1ミリも怖くない。本当の子ども向け絵本のように見ていられるのです。主人公は何があっても不死身。徹底した現実感の排除が、素晴らしい。
最後にはヌバルおじさん(ベネディクト・カンバーバッチ)と戦ったりするのですが、ギャグと言いましょうか、指人形劇を見ているような微笑ましさです。
そして今回もスカーレット・ヨハンソンが脇役で出ていましたが、笑いません。ザ・ザ・コルダの娘役ミア・スレアプレトン(ケイト・ウィンスレットの娘さんとか!)も笑いません。笑わないヒロインっていますか? ザ・ザ・コルダのいい加減さに呆れる感じが、よく出ています。
本作は評価が分かれたようで、5段階で5をつけた人と1をつけた人が同数いるということです。私はウェス・ワールドを堪能したので、4をつけます。
デル・トロ恐るべし役者
ベニチオ・デル・トロは、私にとっては殺人鬼の印象。
こちらは『ユージュアル・サスペクツ』フェンスター役のデル・トロです。
『ラスベガスをやっつけろ』のデル・トロです。
今回のザ・ザ・コルダは、マスコミでもつかみどころのない謎の財界人(?)といったところ。本作では小賢しさが本当にかわいいです。
デル・トロは1967年生まれで、もう50代後半というところですが、目元だけ見るとブラッド・ピットに見えるところも愛おしい。本当に不思議な役者さんです。
トム・ハンクスが脇役で出てきたことは分かりました。『アステロイド・シティ』に出演した記憶はありました。
その後、キャストをチェックしていたらビル・マーレー? 気づかなかった。ウィレム・デフォーは気づきました。
んもー、みんなウェス・アンダーソンが大好きなんですね。
今日はこの辺で。
映画公式サイト:https://zsazsakorda-film.jp/