作品が扱う光と闇、『ガール・ウィズ・ニードル』

こんにちは、星読み☆映画ライターのJunkoです!

北欧には、社会派作品が多い。人権を考えさせられることが多い。どんな作品かははほとんど知らないまま、期待とともに『ガール・ウィズ・ニードル』(マグヌス・フォン・ホーン監督)を観に行きました。監督はスウェーデン出身、ポーランドの映画学校で学び、ポーランドのクルーで撮影したようです。主演と助演の俳優さんは、デンマークの方でした。

『ガール・ウィズ・ニードル』へのひと言

映画のような、光と闇。

本作は1920年代の設定。この世に映画は誕生していましたし、娯楽としても存在していました。

映画史初期は、娯楽としてわざわざ高価なフィルムに記録して見せるわけですから、ものすごく美男美女が出てきたり、シューリアルやトリックアート的なものがあったり、やや「見せもの小屋」的なところもありました。

映画は光と闇で構成するエンタメ(芸術)です。社会には光もあれば闇もある、それを闇(映画館)の中で、照らし出すのです。

作品中には、戦争から戻った夫の顔がケロイド状態で、「見せもの小屋」で働く描写がありました。見る者が顔を背けたくなるような出たち。人々は、自分たちのプライドを満たすかのように笑います。

物語の主人公である女性は、壮絶な人生を送っています。工場での労働では、工場の経営者に気に入られ、一瞬豊かな暮らしを夢見ます。うまく行けばシンデレラストーリですが、ことの展開はそうは行きません。

こんなヒロイン、見たかった?

人生や社会の闇を、否応なく見せつけられる作品です。

多産多死の時代

戦中は男性が戦地に赴いているので、女性が社会を回していく必要があります。しかし戦争に行かない男性もいますので、妊娠・出産する女性もいます。産むことにあまり計画性もなく、今で言う「赤ちゃんポスト」のように、育児を放棄する女性がいれば、それを救おうとするスキームもあります。社会に翻弄される若い女性と、それを救おうとするかのような中年女性。作品前半は、女性への応援歌のように見えます。

驚くべきは、本作が実際の事件に基づいていると言うところです。人間の本質を問う、北欧ならではの重厚感がありました。

今の時代、性と生殖に関する健康と権利に関して言えば、女性の避妊について改善されている(と思いたい)ところもあります。一方で、男性の意識はどうでしょうか。あまり変わっていないでしょうか。

今日はこの辺で。

映画公式サイト:https://www.transformer.co.jp/m/needlemovie

ヒグチユウコさんが手がけたポスターはこちら

Junko

1973年静岡生まれ、星読み☆映画ライター。アメリカ留学経験者、異文化交流実践者、広報コンサルタント。

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